今年度は、バングラデシュにおける実地調査を含め、具体的な開発援助の動向について多様な関係者から聞き取り調査を行った。とくに、平成17年12月より平成18年1月にかけてバングラデシュのダッカ大学日本研究センターに客員教授として滞在し、聞き取り調査ならびに資料収集を行うことができた。これらの調査結果は、来年度に論文として発表する予定である。 また、今年度の研究成果として、国際教育協力のメカニズムに関する基礎研究について、2つの学会誌(日本国際文化学会・日本比較教育学会)に成果を発表することができた。これらの研究では、本研究の課題である基礎教育分野における開発援助の調整メカニズムを明らかにするために、国際教育協力を実施する主なアクターたち(途上国政府、先進国援助機関、国際機関、NGOなど)の協調関係などについて分析を行った。ここで行った分析は、アメリカで出版される予定の本の一章になるべく、現在、英文論文として執筆を行っている。 さらに、バングラデシュの教育セクターにおける援助協調を理解するためには、基礎教育のみならず高等教育などの隣接分野に関する理解を深めることが欠かせないことに気づいた。そこで、とくに高等教育に焦点をあてた論考をまとめ、年度末にボストン・カレッジ高等教育研究センターのニュースレターへ原稿を提出した(平成18年4月出版予定)。 以上のように、今年度は豊富な実地調査を行うとともに、国際教育協力(とくに援助協調)に関する幅広い研究を行うことができた。これらの成果に基づき、最終年となる来年度は積極的に学会報告や論文発表を行っていく予定である。
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