本年度は、昨年度に引き続き資料収集および聞き取り調査により、1987年教育改革前後および1990年代に入ってからのガーナにおける教育状況を検討した。特に、経済停滞期・経済危機下における教育開発政策、国際教育協力、アフリカ教育開発、ガーナの教育に関する国内外の先行研究や調査報告、新聞・雑誌等の各種資料を収集・整理するとともに、関係者から最新の資料と情報を入手し、データベースを作成した。その結果をもとに、これまでの研究成果に関して、国内外の研究者との意見交換、国際協力実施機関におけるワークショップを行ない、調査に関するインプットを得た。特に、国際機関としては世界銀行を研究対象の中心に据え、世界銀行のアフリカ開発政策、教育分野における構造調整、高等教育改革への影響、アフリカにおける教育プロジェクトの内容分析、その中でのガーナにおける教育支援の位置づけ、ガーナにおけるプロジェクトの具体的展開、プロジェクトの効果分析などを行った。また、教育改革の成果の分析に関しては、初等中等教育における到達度学力調査・卒業試験の結果と中等教育後の進路・就職状況を検討した。国際機関からの影響という点では、世界銀行の構造調整政策がガーナの労働市場に与えた影響は、中等教育修了者の労働市場に大きく影響していることが収集した資料から明らかになった。本年度の研究成果は日本教育社会学会(2005年9月)および日本評価学会(2005年12月)において報告を行った。また、論文は、『日本教育政策学会年報』および『人間発達研究』などの学術雑誌に掲載された。
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