就職後に短期間で辞職・転職する大卒者が増加しているが、就職時点においても従来とは異なる変化が生じている。これまで一般的であった高等教育終了者の新卒一括採用システムの一部が変化しつつあり、その1つの現象が、人材派遣会杜がサービスを提供している新卒派遣というシステムである。このサービス自体は、1990年代から始まっており、その仕組みについては労働関係の雑誌等で紹介もされてきている。しかしながら、実際にどの程度の派遣会杜が新卒派遣のサービスを実施しているのか、利用する学生や卒業生の規模や特性はどのようなものであるか、といった具体的な点についての実態はほとんど明らかにされていない。こうした現状を踏まえて、新卒派遣というシステムが、我が国の大学教育から職業への移行形態における新たな潮流となりうるかを検証するために、以下の手順で調査を実施した。まず、新卒派遣サービスを実施している人材派遣会社の担当者にインタビュー調査を行い、それを踏まえて質問票の作成を行った。次に、日本人材派遣協会に登録している人材派遣会杜のデータ・ベースを利用して(426件)、「新卒・第2新卒派遣に関する実態調査」を2月〜3月にかけて行った。現在、回収作業をほぼ終えており、今後調査結果の分析を進めていく予定でいる。
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