研究概要 |
本年度は3か年の研究計画の第2年度にあたるので,初年度に引き続き基礎的研究をおこなうとともに,初年度の成果をふまえた調査・研究を進めた。第1に,中国高等教育システムの変容に関する文献・資料の収集・分析をおこなった。今年度は,昨年度収集した文献・資料(日本語,中国語)に加えて英語文献の収集をおこない,分析をおこなうための多様な視点の確保に努めた。第2に,入学者選抜方法改革に関する文献の収集・分析をおこなった。国立国会図書館,国立国会図書館関西館で初年度に引き続きわが国と中国,台湾の大学入学者選抜方法に関する文献・資料を収集したほか,その他の国ぐにの関連文献についても収集に努めた。また,中国訪問時には中国語文献を収集した。これらの作業を通じて,国際比較の視点から,入学者選抜方法の改革動向(多様化)に関する仮説をたてた。その検証と精緻化は平成18年度以降の課題である。第3に,訪中の機会を利用して,中国の入学者選抜方法に関する聞き取り調査をおこなった。訪問したのは北京師範大学,東北師範大学である。同時に,中国在住の研究者に資料収集を依頼し,北京大学や北京師範大学,廈門大学などの入学者選抜方法に関する資料を入手することができた。また,本年度はとくに中国における推薦入学制度の変遷に注目し,「中国の大学入学者選抜における推薦入学制度の変遷」(『大学論集』第36集,167-182頁)を執筆した。 このほか,大学入学者選抜方法の前提となる初等・中等教育の教育課程に関して,とくに理科を対象に「中国における理科教育の改革動向」(『理科の教育』,楠山研と共著)を執筆した。
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