研究概要 |
本研究は,論理的な文章について言語に明示的でない情報を推論しながら読む力<推論的読み>がどのように形成されるかについて,教師の持つ国語学力観との関わりにおいて実証的に明らかにすることを目的とする。具体的には,次のことを明らかにする。 (1)小学校高学年段階と中学校段階における,学習者の<推論的読み>の学力形成状況と国語科担当教師の持つ論理的文章の読みついての学力観との実態的な相関を明らかにする。 (2)小学校および中学校国語科担当教師を対象とした<推論的読み>を課題とする教材分析・授業設計について,トレーニング・プログラムを開発する。 (3)トレーニング・プログラムの実施による教師の論理的文章の読みの学力観と授業の変化を明らかにする。 (4)小学校高学年段階と中学校段階における,教師の学力観の変化と,学習者における<推論的読み>の学力の習得との関連を明らかにする。 平成16年度は,研究目的の(1)および(2)に沿って,小学校および中学校の国語科教師に対するインタビュー調査を実施し,教師の持つ論理的文章の読みの学力観を明らかにするとともに,<推論的読み>を志向した教師の学力観を発展させるプログラムの開発を行った。多くの教師が<推論的読み>よりむしろ言語に明示的な情報の読みを志向していること,具体的な教材に沿った<推論的読み>のあり方を授業レベルで示す教師のためのプログラム開発の重要性が確認された。
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