研究課題
代数曲線X上にd次の関数があるとき、Xはd-gonalであるという。特に、Xの種数が2以上かつd=2であるとき、Xを超楕円曲線と呼び、d=3のときXをtrigonal曲線と呼ぶ。モジュラー曲線X0(N)の上にはアトキン-レーナー対合と呼ばれる一連の対合が存在する。いまそれらの全体をW(N)とすると、これは位数が2のr乗の基本2-アーベル群となる。ただしrはNの相異なる素因子の個数である。1970年代にオッグによってX0(N)のうち超楕円曲線となるものがすべて決定された。その後、1990年代後半になって商曲線X0(N)/W'(ただしW'はW(N)の部分群)のうち超楕円曲線となるものが長谷川(本研究代表者)と橋本・古本両氏との共同研究者により決定された。この結果は定義方程式の計算を含め具体的に与えられており、そのためX0(N)/W'の有理点計算をするのに効果的な情報をもたらす。さて、X0(N)/W'のうちtrigonalとなるものの決定が1990年代後半より長谷川(本研究代表者)と志村真帆呂氏との共同研究により開始され、本研究の成果によりすべてのW'に対しtrigonalとなるX0(N)/W'の決定が完了した。その結果、自明にtrigonalとなるものを除けば(つまり、種数5以上で考えて)全部で18通りのtrigonal曲線があることがわかった。有理点探索などを行うにはよい平面モデルを与えておくことが重要であるが、それは|W'|=2またはW'=W(N)の場合には既に済んでいる。(W'={1}の場合は自明なtrigonal曲線しか存在しない。)今回X0(N)/W'(2<|W'|<W(N))でtrigonalとなっているものについてもよい平面モデルを計算するところまで行った。その成果をまとめたものは「11.研究発表(平成17年度の研究成果)」に記入したとおり論文として出版された。
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Proceedings of the Japan Academy, Ser.A Vol.82
ページ: 15-17