研究概要 |
剰余体が完全とは限らない離散付値環の拡大で生じる分岐の性質を,p進解析的手法を使って調べることが本研究の目的である。特にこのような離散付値環の商体のガロア表現に対して定まるAbbes,斎藤によって定義された分岐フィルトレーションと,このガロア表現から生ずる微分加群に対して,Christol,Mebkhoutによって定義されたp進傾斜フィルトレーションとが一致するという予想を証明することが主なる目標である。これには、logが付かないバージョンと付くバージョンがあり、後者の方が正統なフィルトレーションであると考えられる。 今年度の目標は,上の予想のlogが付かないバージョンを剰余体が完全とは限らない場合に一般的に証明することであった。この問題は剛解析空間の形式スキームによるモデルについてのテクニカルな問題を除いてほぼ証明ができた。特に正標数の代数多様体の連結成分と、その形式的スキームへの持ち上げの生成的ファイバーとして得られる剛解析空間の連結成分が、適当なスムーズ性のヤコビアン判定法を用いた仮定の下で、全単車対応するという補題を示すことができた。 この結果については2005年10月に広島大学で行われた研究集会において発表を行った。また、その際来日したChiarellotto教授との議論で、同様の手法の剛解析コホモロジーの傾斜フィルトレーションへの応用の可能性も分かった。
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