有限群のモジュラー表現における問題は主に、与えられた有限群のある素数に関する表現の情報はその素数に関する局所部分群の表現の情報により得られるのではないか、という考えに基づいている。とくにブルエは可換な不足群をもつブロックは局所部分群のブラウアー対応子と呼ばれるブロックに導来同値ではないかと予想している。 ブルエ予想の解決を目指す過程で、2つの群のブロックが導来同値であるとき、それらの群の中心拡大の群のブロック間も導来同値になるかという問題が生じる。これはブロック間の安定同値はその中心化群の導来同値により導かれることがわかっているので、中心化群のブロック間の導来同値を構成したいのであるが、中心化群の中心による剰余群のブロックの導来同値の構成のほうが容易であり、それを利用したいからである。この問題に関して、ある条件のもとで二つのブロック間で導来同値より強い関係である森田同値があれば中心拡大のブロックも森田同値となることを示した。 さらにそれを利用し、Held群、Suzuki群という散在型単純群に対し、素数3の非主ブロックに関するブルエの予想を解決した。とくに、Held群の可換不足群をもつ3ブロックはそのブラウアー対応子へ森田同値さらにPuig同値、Suzuki群の可換不足群をもつ3ブロックはそのブラウアー対応子へ導来同値さらにsplendid同値であることを示した。またSuzuki群のブロックは3次射影特殊線形群で同じ不足群をもつ主ブロックと森田同値およびPuig同値であることを示した。 また、他の散在型単純群の非主3ブロックについてや、非可換不足群のブロックについての考察、Puig同値であるブロックについての考察なども進めた。
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