研究概要 |
今年度(平成16年度)では,3次元アフィン空間C^3の3次元Q-Fano多様体へのコンパクト化の分類及び3次元アフィン代数多様体のログ極小モデル理論(以後LMMPと略する)の視点からの構造解析を主な目的として研究を遂行してきた。以後,これらの事柄についての私の研究成果について述べる:C^3のコンパクト化について,第二ベッチ数が1である非特異な3次元Fano多様体へのコンパクト化は1993年に古島幹雄先生が分類を完成させ,その流れを受けて私は第二ベッチ数が2である非特異3次元Fano多様体へのコンパクト化を森重文先生・向井茂先生の結果を適用して分類を完成させた。この結果は雑誌Mathematische Zeitschriftに掲載予定である。一方,特異的な3次元Q-Fano多様体へのコンパクト化の問題は非特異ケースと比較すると劇的に困難・複雑になる。その主な理由は,そもそも3次元特異的Q-Fano多様体の分類が殆どなされていないという点にある。しかし近年,高木寛通先生によりGorenstein指数が2でありFano指数が1/2であるような3次元Q-Fano多様体の分類が森理論の視点から非常に精密に遂行されてきた。今回,私はGorenstein指数が2でありFano指数が1/2であるような3次元Q-Fano多様体のうちで,Gorenstein指数が2の特異点で重み付きブロー・アップをした後の2-ray gameが因子収縮射で終了するクラスについてのC^3のコンパクト化を,高木先生の分類結果を適用して完成させた。この結果に関する論文は現在,外国雑誌に投稿中である。3次元アフィン代数多様体のLMMPの視点からの考察については,コンパクト化をした際の被約境界因子の数値的な条件を仮定をした上では,巧い具合にLMMPを選択することによって,入れ物の多様体が端末的特異点のカテゴリーに収まり,しかもLMMPの過程で出現するフリップと因子収縮射を非常に明示的に記述することに成功した。その結果,その条件下に於いては,3次元アフィン代数多様体の構造をアフィン曲面の理論の同様に対数的小平次元に付随して解析することに成功した。この結果に関する論文は現在,外国雑誌に投稿中である。
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