研究概要 |
位相空間Xの部分空間A上の任意の点有限な1の分割をX上の点有限な1の分割に拡張できるとき,AはXにP(点有限)-embeddedであると呼ばれる.Dydakは1996年の論文において,1の分割に関するBorsuk型のホモトピー拡張定理を完成させる過程で,未解決問題「AがXにP(点有限)-embeddedのとき,A×[0,1]がX×[0,1]にP(点有限)-embeddedであるか?」を提起した.本研究では,まず,P(点有限)-embeddingをP-embeddingと可算濃度に関するP(点有限)-embeddingとして特徴づけ,さらに,零集合の可算和に着目した集合的特徴づけを与えた.これを用いて,上述の問題を,集合論の仮定CHのもとで否定的に解決した.さらに,CHのもとでP(点有限)-embeddedであるがM-embeddedではない例を与えた.さらに,Przymusinski-Wageによって1980年に構成された例を用いて,族正規空間のP(点有限)-embedded(実際にはより強く,M-embedded)な閉集合が必ずしもP(局所有限)-embeddedではないことを示した.このことは,Dydakの1996年の別の未解決問題を解決するものである. また,本研究テーマに関連し,位相空間のbase-normalityについて,積空間の視点からの研究を行った.特に,定理「距離空間のΣ-productはbase-normalである」を証明し,連続関数の拡張問題の基本となっている位相空間の正規性の研究に有用な問題提起を行った. トポロジーシンポジウム(山形,7-8月),3rd Japan-Mexico Joint Meeting on Topology and its Applications(メキシコ,12月),General Topology Symposium(岡山,12月)等の国内外の研究集会において,研究成果の講演を行った.
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