研究概要 |
位相空間Xの部分空間A上の任意の点有限な1の分割をX上の点有限な1の分割に拡張できるとき,AはXにP(点有限)-embeddedであると呼ばれる.Dydakは1996年の論文において,1の分割に関するBorsuk型のホモトピー拡張定理を完成させる過程で,未解決問題「AがXにP(点有限)-embeddedのとき,A×[0,1]がX×[0,1]にP(点有限)-embeddedであるか?」を提起した.本年度は,昨年度与えたP(点有限)-embeddingの集合的特徴づけ及びその証明を改良した.特に,位相空間上の関数で終域をある種のバナッハ空間にとる写像を,距離位相をもつ単体的複体への写像へと取り直す新たな手法を与えた.証明には,関数族の最大関数を考えることのみを用いており,昨年度与えたP(点有限)-embeddingの集合的特徴づけをより簡明に証明することにも応用できる. また,本研究テーマに関連し,位相空間のbase-normalityについて,局所有限性としての定義が星型有限性を用いて表現できるかということを研究し,両概念が一致しない反例を与えた.この事実は,正規性においては同様なおきかえが成立することを示す森田の定理の基底バージョンが成立しないことを示し,今後の研究への興味深い問題を提起したものであると思われる.特に,1の分割の拡張を扱いやすい集合族の拡張として捕らえる場合において有用であると思われる集合の基底の扱いに対して,より厳密な議論の必要性を示唆した. 上記の研究について,General Topology Symposium(静岡大学,12月)において,研究成果の講演を行った.
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