研究概要 |
4色定理の拡張予想であるHadwiger予想と、グラフマイナー理論の関係についての研究を主に取り組んだ。 Hadwiger予想とは、k点からなる完全グラフをマイナーとして含まなければ、k-1彩色可能であるという予想で、k=5のときは、4色定理と同値であることが、1930年代より知られている。また、10年程前に、Robertson, Seymour, Thomasによって、k=6のときも4色定理と同値であることが証明された。kが7以上の場合は現在未解決である。 デンマークの数学者TOFTと本研究者は、数年前に、kが7のときの弱予想である、7点からなる完全グラフと4点ずつの部集合である2部グラフをマイナーとして持たなければ、6彩色可能であることを証明した。この定理が、kが7の場合の攻略第一歩であると信じられており、本研究者は、この1年間研究を進めた。その研究の中で得られた結果は、7点からなる完全グラフと、3点と5点からなる2部グラフをマイナーとしてもたなければ、6彩色可能であるという定理である。来年以降もこの研究路線を継続する予定である。 また、グラフマイナー理論は、Hadwiger予想が動機となり、k点からなる完全グラフをマイナーにもたないグラフはどのような構造をしているか?という問題の解決を与えている。残念ながらこの構造は、漸近的なものであり、Hadwiger予想に対する重要な進展を与えなかったが、本研究者と、Moharらは、グラフが多少大きければ、連結度に線形関数の位数の完全グラフをマイナーとして持つことを証明した。証明はグラフマイナー路りんを使っている。この問題は1970年代より論じられており、Hadwiger予想攻略の第一歩とされている。今後は、彩色数に線形関数の位数の完全グラフをマイナーとして持つことの証明を目指す予定である。
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