研究概要 |
「線形不等式系のTDI-nessを多項式時間で判定できるか、その判定アルゴリズムを組合せ論的に構成できるか?」というテーマは、未だ本質的な解明に至っていないという意味で、非常に深い未解決問題であると考えられています。本研究では、こうした様な組合せ構造のプリンシプルの一つの候補となるべき予想を提案し、この予想の一般的な枠組みでの解決を念頭におきながら、幾つかのBlocking-Typeの具体的な未解決問題についての研究に着手し、更にその先のステップとして、各々のTDIのクラスを統合してゆくプロセスを通じて、予想の解決への足掛かりを与えていきたいと考えています。 Idealなクラッターについての最も基本的な未解決予想に、「Packing PropertyとMFMC-nessは同値な概念か?」という、Cornuejoulsの予想があります。この問題に関して、柏原氏との共同研究を行い、Ideal minimally non-packing clutters and polytopesという論文(preprint)を書きました。この論文ではpacking propertyの禁止マイナーを含む、クラッターのあるクラスを特徴付け、この概念を用いて、Cornuejoulsの予想を導く自然な形の予想を定式化しています。 同時に、「与えられたグラフの持つ、弦のない奇数点サイクルとその補グラフ達をそれぞれhyperedgeと見なすことにより得られるclutter」のideal-ness, MFMC-nessについても研究を進めています。このclutterの族は、与えられたグラフのすべてのperfectな点部分グラフを頂点として持つ多面体の整数性に関連してきわめて重要です。現在はグラフの族を平面グラフに限ってその特徴付けを行なっています。このクラスにおいては、ideal-nessの禁止マイナーとしてC^2_{2n+1}のみを含む構造、MFMC-nessの禁止マイナーとしてQ_6のみを含む構造が得られている。
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