研究概要 |
本年度行った研究により得られた成果は以下の通りである。 1,測度付き距離空間における自己共役作用素の大域的性質の解析を行なった。放物型ハルナック不等式や、一般化された熱核の劣ガウス型評価と同値な条件を与えることにより、その安定性を示し、さらにこのような評価がroughisometryと呼ばれる変換で不変であることを示した。これらの結果は、Barlow氏、Bass氏との共著論文にまとめ現在雑誌に投稿中である。さらに、対応する拡散過程が強再帰的な場合に、有効抵抗を用いたより検証しやすい同値条件を与えた。この結果は、Barlow氏、Coulhon氏との共著論文にまとめ、現在雑誌に投稿中である。 2.臨界点における分枝過程に、絶滅しないという条件を付けたモデルを考える。このようなランダム樹木上のシンプルランダムウォークの熱核の詳しい評価を与え、ランダムウォークが劣拡散的な挙動をすることを示した。各々のランダム樹木についての結果(quenched case)と、ランダム樹木に関する平均をとった場合の結果(almealed case)が得られており、現在Barlow氏と共著で論文を執筆中である。 3.D-setと呼ばれる自己相似な距離空間上に飛躍型確率過程を構成し、その熱核の詳しい評価を得た。考える確率過程は、レヴィ測度の密度関数がいくつかの安定過程の密度関数を混合したような形をしており、我々の結果はユークリッド空間に限っても新しい結果である。現在Z.Q.Chen氏と共著で論文を執筆中である。
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