近年、対称錐上の計画法(対称錐計画法とよぶ)が研究されている。対称錐計画法は線形計画化法(LP)や半正定値計画法(SDP)を含むクラスである。LP・SDPは主双対内点法により優れた解法を記述することができ、対称錐計画法においても主双対内点法による解法が、LP・SDPの解法の拡張として研究されている。主双対内点法と、対称錐を構成するジョルダン代数との関連も指摘されている。 以上の背景のもと本研究では、対称錐線形計画法(制約領域が線形領域である対称錐計画法)を主双対内点法の1つであるアファインスケーリング法で解く場合、制約領域が双対平坦ならば解追跡のためのアファイン軌道が双対接続についての測地線に沿っていることを確認した。さらに、ニュートン法の反復無しで解くことができることを確認した。 これは、SDPにおける既知の同様結果の拡張である。結果を示すには、対称錐を統計多様体とみなし双対幾何構造、特に双対平坦構造を導入した。次に、線形制約領域を対称錐の統計部分多様体とみなし、線形制約領域が双対平坦統計部分多様体となる条件を考察した。そして、アファイン軌道を制約領域の(主座標に対する)双対座標を用いて表すことで結果の確認を行った。
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