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2005 年度 実績報告書

非線形シュレーディンガー方程式の初期値問題における解の漸近挙動

研究課題

研究課題/領域番号 16740079
研究機関宮崎大学

研究代表者

北 直泰  宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (70336056)

キーワード非線形シュレーディンガー方程式
研究概要

初期データにデルタ関数を与えて,非線形シュレーディンガー方程式(NLS)の時間大域的な解を構成することができた.この結果は物理的には,光ファイバーに鋭いパルス状の波形を入力しその後の波形の変化を「実験ではなく」理論で観察できたことを意味する.また,特異性の強いデータに対しては,ゲージ不変性がある非線形項を持つシュレーディンガー方程式の可解性にかかわる結果が数少なかったので,今回の結果は低いレギュラリティーの枠組みで方程式を解く可能性を提示できたのではないかと考える.解の挙動については,初期データが鋭くとがっているとファイバー内部進行中に波形がなだらかになってパルスとしての形状保持ができなくなることがわかった.これは鋭いパルスには高い周波数の波が多く含まれているため,線形分散効果でその影響が突如として広がってしまうせいであろう.この知見から推察すると,ソリトンのように形状がいつまでも崩れない波形で存在しつづけるためには,高周波成分をあまり含まない波形つまり滑らかな波形を入力するとよいことが分かる.NLSを初期データデルタ関数で解くメリットは,解がほとんど陽的に得られるところにある.そのお陰で,非線形特有の効果を解の表現に垣間見ることが可能になった.この非線形特有の効果について具体的に説明すると,(1)初期データが1本のデルタ関数の場合,線形解に修正振幅が施された形になること(2)複数のデルタ関数を初期データに与えると非線形相互作用により解には新しいモードが無限個生ずることの2点が挙げられる.これらは通常の発展方程式論で扱われるようなL^2空間の枠組みによる解の構成ではなかなかつかみきれなかったものである.今後の研究の方向性として次の2点が挙げられる.初期データのクラスを抽象化する方向.および,より精度よく現象を記述する方程式に対してデルタ関数初期値で解の構成を試みる方向である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Time local well-posedness for the Benjamin-Ono equation with large initial data2006

    • 著者名/発表者名
      N.kita, J.Segata
    • 雑誌名

      Publications of RIMS 42・1(掲載予定)

  • [雑誌論文] Mode generating effect of the solutions to nonlinear Schrodinger equating2005

    • 著者名/発表者名
      Naoyasu Kita
    • 雑誌名

      数理解析研究所講究録「流体と気体の数学解析」 1425

      ページ: 113-121

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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