研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き,KP階層と呼ばれるソリトン方程式の階層とパンルヴェ方程式との関係を明らかにすることを中心に研究を進めた。当初の計画では,トロイダル・リー代数の対称性を持つ階層から出発してパンルヴェVI型方程式を扱うことを構想していた。これに対し,パンルヴェVI型方程式を,通常のアフィン・リー代数の範疇で扱う方法を発見したので,本年度はその立場からの理解を深めることに重点をおいた。その結果,g1_3型のドリンフェルド・ソコロフ階層,およびそのq類似から出発して相似簡約を考えることで,パンルヴェVI型方程式,およびそのq類似を扱うことができることが分かった。得られた結果については,現在論文を投稿中である。また,以下の研究集会で発表している。 ・"ソリトンから見たパンルヴェ方程式", 第34回 ENCOUNTER with MATHEMATICS (2005年7月) ・"ソリトン方程式から見たPainleve方程式", 2005年函数方程式論サマーセミナー(2005年8月) ・"From multi-component KP hierarchy to Schlesinger system and its q-analogue",Kobe workshop on integrable systems and Painleve systems (2005年11月) また,昨年度の研究で得られた直交多項式と楕円ルート系の関係については,現在ランクが高い場合についての扱い方を検討中である。1変数の場合については,パンルヴェ方程式との関係を探るべく,以下の研究集会で発表し,議論を行った。 ・"Askey-Wilson多項式と楕円ルート系", 可積分系と一般化されたパンルヴェ方程式II(2005年12月)
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