研究概要 |
2004年度の研究代表者の研究は,Sobolevの意味での臨界増大度をもつ半線型放物型方程式の時間大域解に関する,$L^\infty$-時間大域有界性に関するものであった.以下簡単のため初期値は$L^\infty$に属するものとする.劣臨界の場合については現在までに多くの研究がなされており,任意の時間大域解は$L^\infty$-時間大域有界性をもつことが知られている.一方臨界増大度の場合には,劣臨界の場合に有効であった手法が軒並み有効でなくなるため,いくつかの結果しか得られていない.特にGalaktionov-King('03)は,臨界増大度の場合には,ある種の状況下で無限時間爆発する解を構成できることを示している.これらの錯綜した結果は,時間大域解の$^L^\infty$-時間大域有界性について,いまだに本質的なメカニズムがよくわかっていないことを示唆する.研究代表者は申請書の研究目的に書いたとおり,このメカニズムについて変分法的な立場からの解析が本質的であると考え,2004年度は追加採択であることもあり,予備的な研究を行い,以下の結果を得た. 定理.(劣)臨界指数をもつ半線型放物型方程式の時間大域解について,これが$L^\infty$-時間大域有界性をもつことと,方程式に付随するLyapunov汎関数が解に沿ったPalais-Smale条件を満たすことは同値である.
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