研究概要 |
本年度の研究では,反応・拡散・移流系に対する適切性(解の存在と初期値連続性)の証明と解の漸近挙動の研究を行なった.論文:Y.Takei, K.Osaki, T.Tsujikawa and A.Yagi, Exponential Attractor for an Adsorbate-Induced Phase Transition Model with Periodic Boundary Conditions, "Differential Equations and Applications vol.4"ed. Yeol Je Cho, Nova Science Publishers(掲載決定)では,Mikhailov等によって提案された反応・拡散・移流系である化学反応表面吸着相転移モデルに対して,空間1次元の場合を扱い,境界に周期境界条件を課した上での適切性証明と指数アトラクターの構成を行った.また,論文:K.Osaki, Global Existence of a Reaction-Diffusion-Advection System, Adv.Studies in Pure Math.(掲載決定)では,全空間における同モデルに対して,昨年度の発表論文:K.Osaki, Y.Takei and T.Tsujikawa, Global Solution to a Reaction Diffusion Phase Transition System in R^2,Adv.Math.Sci.Appl.14(2004),559-576,では取り扱わなかった不安定定数定常解周りの時間発展解についての存在証明を行った. 現在は,反応・拡散系にみられるパターンで重要なスパイラルパターンについて,キネマティック方程式を用いたアプローチを行い,その定常解の存在と安定性に関する論文,およびパターンの制御に関する論文の2件を投稿準備中である.この研究に関しては,旅費を使用して国内共同研究者との打ち合わせを行なっている.また,具体的な解の形状と時間発展の様子を調べるため,パーソナルコンピュータを購入し数値計算も行なっている.加えて,反応・拡散・移流系に見られる六角形パターンについても論文を準備中で,国内研究者との共同研究ディスカッションを行っている.
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