研究概要 |
複数の近傍セイファート銀河について可視および赤外線において明らかな変光現象をとらえさらにそのあいだの遅延時間を測定することに成功した。とくに観測データの蓄積が大きい4個の近傍セイファート銀河について3シーズンにわたった観測結果を論文誌に報告した(Suganuma et al. 2006,ApJ,639,46)。これらの天体は過去に幅広輝線の反響探査観測によって幅広輝線放射領域のサイズが測定されている天体であり、セイファート銀河の統一モデルの観点からダストトーラスの反響探査観測を適用するのに好適な天体である。このため今後も観測を継続する予定である。また一部の活動銀河核の光度曲線には可視に見られる速い変光現象が「なまって」赤外線に現われている様子が確認された。これはダストトーラスが視線方向に傾いている可能性を示すものである。今後、光度曲線を詳細なモデルと比較して検討する予定である。 本研究で使用しているMAGNUM望遠鏡は1ヶ月以上の完全無人自動観測を定常的に行なえるまでに整備が進んでいる。しかし消耗品交換や老朽化対策のため定期的なメンテナンスは必須であり、カメラ冷凍機ヘッドの交換などの作業を行なった。さらに本年度は観測所近くにある放送塔を起源とする電磁波の影響を削減させるためにカメラ周辺に電磁波シールドをとりつけた。これにより検出器のノイズを大幅に減少させるのに成功し、測光精度を大きく向上させ微小な変光も捕えることができるようになった。
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