銀河合体の結果生じると考えられているブラックホールバイナリーは、一般相対論的な重力波を放射しながら合体し、太陽の1億倍以上の質量を持つ巨大なブラックホールの形成に大きな役割を果たしていると思われている。 本研究では、ブラックホールバイナリーを10マイクロ秒(月面上の2cmに相当)という超高精度のアストロメトリーによって検出し、その詳細な運動を探ることでブラックホールの合体過程を明らかにすることを目的としている。 今年度の成果は以下のとおりである。 <バイナリーブラックホール探査観測およびデータ処理手法の開発> アメリカ国立天文台によるVLBIシステムVLBAによって、バイナリーブラックホール候補天体のモニターが4回の観測を今年度終了し、解析段階に入った。このため、 1)電離層補正プログラムの実行 2)複数の補正天体による位置精度の向上 3)高周波数観測(22GHz)による位置精度の向上およびバイナリーモデルの精密化 を行い、一連のデータ処理方法の目処が立ち、来年度には軌道運動の検出が可能と考えられる。
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