コンパクト天体まわりの降着円盤の磁気流体力学的現象を対象として、対流安定な重力成層化されたプラズマガスを考える。磁場が存在する場合、磁力線に沿っての非等方な熱伝導が生じ、不安定となることが示唆されている(Bulbus 1999)。今年度、数値実験を行ってこの不安定性を解析するために、数値計算コードを整備し、テスト計算を行った。 この磁気流体数値実験は、磁気流体の計算と熱伝導の計算とを、時間分割法により分離計算して行うことした。磁気流体計算をするためのプログラムとして、開発作業に参加しているCANS(天文数値実験プログラムセット、開発代表者:横山央明東京大学大学院助教授、http://www-space.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~yokoyama/etc/cans/)を採用した。熱伝導計算をするためのプログラムとしてBiCGstab法による陰的解法プログラムを開発し、CANSに組み込めるようにした。本計算では、大規模な数値実験となるので、MPIライブラリによる並列化を行った。熱伝導計算プログラムのベクトル化効率が低いことがわかった。ベクトル化効率向上のためのプログラム修正を検討中である。 CANSのコード記述法にならって、永年磁気熱不安定性モデルの初期条件を作成した。この初期条件から、3次元数値実験を実行し、線形発展段階において、数値実験結果と線形解析とを比較した。また、パラメータ依存性を調べた。大部分において妥当な結果を得たが、成長率の大きさ等に一部違いが生じており、検討を行っている。計算結果を解析するために、MicroAVS用の可視化プログラムを作成した。過安定磁気熱不安定性については、初期条件を作成中である。
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