本研究により、J-PARC神岡間ニュートリノ振動実験に使用するための、高強度陽子ビーム用プロファイルモニターの開発を行った。陽子ビームモニターの中でも、特に、ビーム断面の形状を測定するための、プロファイルモニターの開発を行った。ここで、プロファイルモニターの原理として、1)ビーム上に測定器を直接設置する方法(破壊型)と、2)ビームの通過により残留ガスが電離され、生成された電子または陽イオンを電場により収集し、セグメント化された読みだし測定器で測定する方法(非破壊型)がある。本研究では、読み出し装置として、2段のマイクロチャンネルネルプレート(MCP)を用いた、非破壊型のプロファイルモニターの試作機を製作した。さらに、その動作原理を確かめるために、高エネルギー加速器研究機構の陽子シンクロトロン加速器において、ビーム試験を行った。信号の読み出し方法として、電子を使用する場合、陽イオンを収集する場合の二種類で試験を行った。その結果、ビームに由来したバックグランドが存在するビームラインでは、電子を使用した方法では、バックグランドからの影響が非常に多く、実際の使用に適さないことが明らかになった。一方、陽イオンを収集する方法を用いた場合だと、ビームのプロファイルが測定できることがわかった。 また、大学において試験装置を作成し、セグメント化されたMCPを較正する方法の開発を行った。ここで、MCPへの粒子源として、タングステンワイヤーからの熱電子を、電場により収集する方法、および、UV光源を利用した方法を用いて、試験を行った。これらの試験結果により、熱電子またはUV光を用いて、系統誤差10%以内で、MCP較正を行うことが可能であることを示した。
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