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2004 年度 実績報告書

弱い相互作用の高次効果のみが寄与するB中間子崩壊過程でのCP非保存の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16740136
研究機関東京工業大学

研究代表者

石野 宏和  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90323782)

キーワードCPの破れ / B中間子 / Bファクトリー実験 / 小林・益川理論 / 強い相互作用 / 弱い相互作用 / シリコン検出器
研究概要

CPの破れの起源は素粒子物理学において解決されていない問題のひとつである。中性B中間子がふたつの荷電π中間子に崩壊する過程(B→π+π-)では、高次の弱い相互作用の効果のために、直接的CPの破れという現象が起きる可能性がある。この現象は、素粒子物理の標準理論の枠内でCPの破れを説明する小林・益川理論によって予言されている。また、強い相互作用による位相のずれを測定することができる可能性があるので、実験的にも理論的にも大変興味がある。本研究は高エネルギー加速器研究機構で行われているBファクトリー実験(Belle実験)において、B→π+π-事象についてのCPの破れの大きさの測定を行った。
この測定のためには、B中間子が崩壊する位置を100μm以内の精度で測定する必要があるために、シリコンバーテックス検出器(SVD)を使用する。そのために検出器のアライメント、崩壊位置決定の性能評価、長期安定性を徹底的に調べ、ハードウェアとソフトウェアの管理・維持を行った。その結果、必要な位置分解能を十分な精度で長期間一定に保つことに成功した。
この成果をもとに、B→π+π-崩壊でのCPの破れの測定をおこなったところ、直接的CPの破れを4σの有意性で測定できた。また世界で初めて、この崩壊における強い相互作用の位相に対しても制限を加えることができ、強い相互作用のQCD理論に大変有用な実験的測定値を与えることができた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] Study of CP Violating Effects in Time Dependent BOBObar ->D*-+pi+- Decays2004

    • 著者名/発表者名
      T.R.Sarangi, H.Ishino et al.
    • 雑誌名

      Physics Review D 93

      ページ: 031802

  • [雑誌論文] Evidence for Direct CP Violation in BO->K+-pi-+ Decays2004

    • 著者名/発表者名
      Y.Chao, H.Ishino et al.
    • 雑誌名

      Physics Review Letters 93

      ページ: 191802

  • [雑誌論文] The Data Acquisition System of the Belle Silicon Vertex Detector(SVD) Upgrade2004

    • 著者名/発表者名
      H.Ishino et al.
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on nuclear science 51

      ページ: 2064

  • [雑誌論文] Observation of Large CP Violation and Evidence for Direct CP Violation in BO -> pi+pi- Decays2004

    • 著者名/発表者名
      K.Abe, H.Ishino et al.
    • 雑誌名

      Physics Review Letters 93

      ページ: 021601

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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