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2004 年度 実績報告書

反応理論を用いた中性子過剰核の構造の記述

研究課題

研究課題/領域番号 16740139
研究機関東北大学

研究代表者

萩野 浩一  東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20335293)

キーワード半古典法 / トンネル現象 / 結合チャンネル法 / 対相関相互作用 / HFB法 / 重イオン準弾性散乱 / 陽子放出崩壊 / 不安定原子核
研究概要

安定線より遠く離れた中性子過剰核は、従来よく調べられてきた安定原子核とは異なる様々な性質を持つことが知られている。中性子過剰核は、外殻中性子の弱束縛性で特徴づけられており、従って、その記述のためには正エネルギー状態を正しく取り扱う必要がある。本研究では、正エネルギー状態を記述する散乱理論(反応理論)を用いて、不安定核の反応と構造を統一的に記述する試みを行っている。今年度は以下に記す研究実績を得た。
1.障壁透過確率に対するよく知られた半古典公式(WKB公式)を多チャンネル系に拡張することに成功した。この方法を用いるとチャンネル数が多い場合にも比較的簡単に結合チャンネルを解くことができ、中性子過剰核を用いた反応のように連続状態への励起が重要になる場合に有効になる方法である。
2.不安定原子核の構造の記述では、平均場近似に取り込まれない残留相互作用(主には対相関相互作用)を注意深く取り扱うことが本質的となる。これに関して、Hartree-Fock-Bogoliubov(HFB)法とその近似であるBCS法の詳細な比較を行った。またHFB法とBCS法をつなぐ方法として、対相関ポテンシャルの非対角要素に対する摂動的方法を開発した。
3.不安定核の励起構造を調べる方法として、クーロン障壁近傍のエネルギー領域における重イオン準弾性散乱が有効となりうることを指摘した。
4.芯となる陽子過剰原子核に陽子、中性子が1つづつ加わった奇々核の陽子放出現象の実験データを結合チャンネル法を用いて解析し、陽子放出現象に対する原子核構造の影響を議論した。この解析を通じて、芯核の振動励起を考慮すると実験で見られる数本の陽子線を統一的に理解できること、また奇々核の陽子放出現象は陽子過剰核中の中性子1粒子状態に対する有益な情報を与えることを明らかにした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] Perturbative HFB model for many-body pairing correlations2005

    • 著者名/発表者名
      K.Hagino, H.Sagawa
    • 雑誌名

      Physical Review C (印刷中)

  • [雑誌論文] Quasi-elastic barrier distribution as a tool for investigating Unstable nuclei2005

    • 著者名/発表者名
      K.Hagino, N.Rowley
    • 雑誌名

      Brazilian Journal of Physics (印刷中)

  • [雑誌論文] Study of fine structure in the proton radioactivity of 146Tm2005

    • 著者名/発表者名
      J.C.Batchelder, K.Hagino, 他19名
    • 雑誌名

      European Physics Journal A (印刷中)

  • [雑誌論文] WKB approximation for multi-channel barrier penetrability2004

    • 著者名/発表者名
      K.Hagino, A.B.Balantekin
    • 雑誌名

      Physical Review A 70

      ページ: 032106/1-032106/6

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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