研究概要 |
1.U(12)分類形式の基礎付けとstatic U(12)symmetry σ中間子9重項の発見を契機として従来の非相対論的なSU(6)_<SF>に基づくハドロンの分類法が困難に直面していることは研究計画に述べた。SU(6)<SF>の純粋に数学的な相対論化は不可能であることがColeman-Mandulaによって証明されているが、我々のU(12)分類形式ではハドロンの静止系でSU(6)_<SF>を拡大したU(12)対称性(static U(12) symmetry)を考え、次にU(12)群の生成子を使って波動関数を共変化する方法をとっている。この方法は1960年代にS.Weinibergによって見出されたSU(6)_<SF>の共変化の抜け道の1つの方法と同一であることがわかった。 2.D_s中間子系のchiral粒子D_s(2317)/D_s(2460)のπ崩壊、光崩壊の性質 D_s中間子系で発見された新粒子D_s(2317)/D_s(2460)は従来の非相対論的クォーク模型が予言する状態とは性質が異なっており、chiral粒子の有力候補である。我々はそのπ崩壊、光崩壊の性質を検討し、これらがchiral粒子であるとすると非相対論的な粒子の場合に比べてπ崩壊、光崩壊ともに崩壊幅が1桁近く大きくなることを見出した。実験では相対比のみが調べられており、他の模型の予言と我々の模型で予言値に差はみられないが、今後崩壊幅の絶対値が測定されれば、これらの粒子がchiral粒子であるという決定的な証拠となると期待される。(上記1,2についてまとめた論文を現在欧文誌に投稿中である。) 3.北京高能研J/ψ→K^*Kπにおける_κ(900)粒子の存在の証拠 中国北京高能研とのchiral粒子探索のための国際共同研究による_κ(900)粒子の存在を主張する論文作成が現在最終段階に入っており、来年度には結果を報告する予定である。
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