B中間子の輻射崩壊における光子の偏極度の測定の基礎として、B中間子の輻射崩壊がどのような終状態を経ているかの研究を、Belleで収集された140/fbまたは250/fbのデータを用いて行った。B→Kηγ崩壊モードはB中間子の混合を経たCP対称性の破れを通して光子の偏極度の測定が可能な崩壊モードであるが、今回の研究によりこの崩壊モードを初めて観測することに成功し、分岐比を(8.5+-1.3+1.2-0.9)x10^{-6}、直接的CP対象性の破れの度合いを-0.16+-0.09+-0.06と測定した。今回のデータで観測された中性の崩壊モードは約20事象だったため、現時点では偏極度の測定には不足しているが、数年後には偏極度の測定に用いることが可能であると思われる。また、BがKの高次共鳴状態を経た輻射崩壊としてB→K3*(1780)γ崩壊を探索したが、観測されなかった。このことは、Kππγ終状態を用いた偏極度の測定に寄与しうる輻射崩壊の分岐比の情報として有用である。一方、B→Kππγ終状態の研究では今回初めてB→K1(1270)γ崩壊が測定され、荷電モードの分岐比が(4.3+-0.9+-0.9)x10^{-5}と測定された。しかし、偏極度の測定のためにはさらに精度よく分岐比を測定するとともに、他のKの高次共鳴状態への分岐比についても情報を得る必要がある。また、今回測定したのは荷電モードであり、偏極度測定に必要な中性モードを観測する必要がある。今後、輻射崩壊の終状態をより詳細に調べるべく、より多くのデータを用いて解析を行う予定である。
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