研究概要 |
本研究の大目的は、宇宙における粒子の加速機構をあきらかにする第一歩として、太陽フレアに由来する高エネルギー電子と陽子のエネルギー分布を求める事である。研究の一つの柱は、太陽を観測する衛星のデータを用いて、太陽表面における硬X線・軟γ線放射の解析を行なう事である。2005年の夏、無事に打ち上げられたX線観測衛星「すざく」を用いると、100keVから2MeVにわたるエネルギー領域で、太陽フレアからのスペクトルを得ることができる。私は、衛星開発チームの一員として検出器の立ち上げ、および、データ解析ソフトの整備などをおこなった。.「すざく」を用いて、実際に、8月以降、12イベントの太陽フレアを検出し,その軟γ線スペクトルを得ている。本研究のもう一つの柱は、高エネルギー陽子がπ0中間子を経由して崩壊するときにでるγ線を、世界で初めてとらえようとする検出器の開発に、着手することである。本課題では、設計を固めるための試作機製作を巨標としている。昨年度に浜松ホトニクス社から購入したシリコン半導体の動作試験を行い、その結果を元に位置検出能力をあげるための工夫を行ない、本年度は、新規に300μm厚のファインピッチDSSD検出器を開発した。数値計算などの見積りから、昨年度考えていたPD型のシリコン検出器だけでなく、DSSD型の検出器も併用するほうが、検出器全体としての効率がよいと考えたための新規開発である。この検出器は、新規の読みだし系も含め、試作機を製作する段階まで至っており、詳細な動作確認を行なっている。
|