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2004 年度 実績報告書

磁場中ブロッホ電子系におけるアンダーソン局在・量子ホール効果の理論

研究課題

研究課題/領域番号 16740170
研究機関東京工業大学

研究代表者

越野 幹人  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (60361797)

キーワード量子ホール効果 / アンダーソン局在 / Hofstadter蝶
研究概要

磁場中のブロッホ電子系のエネルギースペクトルは、単位格子当りの磁束の本数に依存したHofstadter蝶と呼ばれるフラクタル状のバンド構造を持つ。バンド間にフェルミ準位があると系は量子ホール効果を示し、その量子化値は磁場の大きさと電子密度に依存して複雑な振る舞いを示す。近年半導体超格子でのホール伝導度測定においてこのHofstadter蝶の存在が確かめられている。本年度ではこれに関連し、弱い周期ポテンシャルの下での乱れのある2次元電子系において量子ホール効果を数値的に解析した。
1.非局在状態のエネルギーとその乱れに対する依存性
周期ポテンシャルの下では各ランダウ準位は磁束の値によって決まった数のバンドに分裂する。これに乱れを導入すると各バンドの特定のエネルギーに非局在状態が現れると予想される。そこで本研究では、バンドの数が3の場合において有限系のホール伝導度を数値計算し、系の大きさによる変化から非局在状態と有無とエネルギーを決定することを試みた。その結果、ホール伝導度の合計が0となるバンドについては全ての状態が局在するが、それ以外のバンドについては、ホール伝導度が量子化値の半分になるエネルギーに非局在状態が存在することが確かめられた。また乱れを大きくしていくと各バンドの非局在状態は一つのエネルギーに収束していくことが明らかになった。
2.周期ポテンシャルの非等方性に対する依存性
周期ポテンシャルを非等方にするとギャップが縮小しHofstadter蝶は単一バンド構造に近づいていく。この過程においてホール伝導度を解析したところ、各バンドの非局在状態は一つに融合するのではなく、中央のバンドの非局在状態が3つに分裂し、そのうち2つが上下端のバンドと対消滅するという興味深い過程を見出した。このことは非局在状態のエネルギーはHofstadter蝶の各バンドに単純に一つずつ割り当てられるわけではなく、非等方パラメータに依存して複雑に変化することを意味する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Quantum Hall Effect on the Hofstadter Butterfly2004

    • 著者名/発表者名
      Mikito Koshino, Tsuneya Ando
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan 73巻12号

      ページ: 3243-3246

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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