本計測に必要な技術的課題は16年度中に解決されたので、組み上げられた光学系を利用してリラクサー物質の自己相関関数測定に着手した。これまでの計測で、温度依存性の測定は現状では難しいことが分かり(※1)、室温付近でドメインを形成し揺らいでいると考えられる物質を選定し、以下の実験を行った。 現存するなかで最大の圧電効率を持つPZN-9%PT(※2)(JFEミネラル社提供)に於いて、室温付近でドメイン揺らぎ起源のものと思われる自己相関関数の測定に初めて成功した。これらは運動量依存性を示すものと思われる。よって、今後はこれらの結果の再現性を確かめて、運動量依存性、温度依存性を観測してゆく予定である。 ※1 本代表者の利用しているSPring-8ビームラインに設置してある冷凍機を利用した実験では、その振動、熱収縮等のため光照射位置が温度ゆらぎで変わってしまい、虚偽の相関を与えてしまうことが明らかになった。 ※2 PZN-9%PT:91%Pb(Zn_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-9%PbTiO_3
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