研究概要 |
新たに発見された重い電子系超伝導体Ce_2CoIn_8の電子状態や超伝導状態を明らかにするために、多重極限環境下での比熱測定を行う。そこで、まず高圧下での比熱測定ができるような超小型な高圧セルの開発を行い、重量9.5gで、約2GPaの高圧力が発生可能な高圧容器を完成させた。それを希釈冷凍機に搭載できるようなケージを完成させ、温度計校正、高圧セルを含むアデンダ部分の校正を約80mKから10Kまで行えるようになった。しかし、ノイズ対策を含む測定精度上の問題や、圧力媒体の選定の問題は解決しておらず、今後の課題として次年度に取り組む。同時に常圧測定用の低温比熱計も完成させた。現状の試料は非常に小さいために測定が困難であることが予想される。よって、微少な試料でも測定可能な緩和法の測定系の構築や交流法への試みを今後行っていく。 本研究の課題の一つとして、Ce_2CoIn_8の純良単結晶の育成を試みることをあげた。今年度は、フラックス法による多くの条件(温度条件、母体元素の仕込み割合)で育成を試みたが、単相の結晶を得られておらず、次年度の課題として継続する。予備反応としてCeとCoの合金を作製して、それをInの自己フラックス中で育成していく方法を試みる。またチョコラルスキー法での可能性を模索する。 上記物質の関連物質として、SmCoIn_5の単結晶育成に初めて成功し、比熱測定により約12Kに磁気転移と思われるラムダ型の異常を観測し、その他に約7.6K,6Kにそれぞれ相転移を観測した。これらの相転移の詳細は未だ不明であるが、次年度は他の測定も行い、明らかにしていきたい。この物質の参照物質として、SmRhIn_5,SmIrIn_5の育成にも成功している。これらの高圧下での測定例はないので、超高圧・超低温環境での新しい秩序相の探索を行っていく。
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