本研究の目的は、ナノサイズの細孔を持つ多孔性配位高分子錯体について酸素の圧力吸着を行い、その構造を詳しく調べることである。申請時の予定を簡単にまとめると、初年度は1 試料の調整方法、2 酸素の封入方法、3 高圧下精密X線構造解析を行う事となっていた。 科研費申請より以前に見られていた粉末X線回折測定時の問題について、初年度では試料調整の条件を変えて行うことから問題を解決し、当初想定していたよりかなり良好な高圧下粉末X線回折データを得ることが出来た。そこで、申請時の予定をかなり繰り上げ、予算の執行を行った。 まず得られた成果としては、約0.3Gpaから8Gpaまで細かいステップでの粉末X線回折データをSPring8 BL10XUにて測定した。さらにそのデータを大阪女子大学久保田講師と共同研究で、MEM/Rietvelt法による精密構造解析を行った。ポイントとしては、1 測定データはベストではないがMEM解析に十分耐えうる質のものであること、2 久保田講師との共同研究でプログラムの改良により、分子の構造を細かく制御しながら構造解析を行えるようにしたという事があげちれる。科研費の利用に関しても、予定を繰り上げて特に精密構造解析をより効率良く行うための高性能のPCを購入した。MEM/Rietvelt法によって得られた電子密度分布を分子の空孔の中の酸素の配列を多数の分子を描画して画面に表示及び3Dで動かすには画像表示にもかなり高性能なPCが必要となった。
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