研究概要 |
部分神経回路に対する有効理論:線虫C.elegansの行動を神経回路ベースで理解するには、非線形回路における切り出し問題を解決した有効理論が必要である。そこで、単一ニューロンのモデルとしてケーブル方程式(1状態変数ニューロンモデル)を取り上げ、動的平均場近似を用いた有効理論を提案した。なお、この有効理論は結合状態が大域的(全ての神経細胞が互いに結合)な場合と、局所的(1つの神経細胞が少数の神経細胞のみと結合)な場合の2通りに対して示されている。さらに、4状態変数ニューロンモデルであるHodgkin-Huxleyモデルなども扱えるように、一般のK状態変数ニューロンモデルに対する有効理論へと拡張した。また、この有効理論を線虫のタッチ反応に関わる部分神経回路へと応用し、シナプス結合の符号(興奮性・抑制性)を推定するとともに、有効理論の有用性を確認した。 神経結合表示システム:線虫C.elegansの神経結合データベース(K.Oshio, Y.Iwasaki,他7名,Keio Future, No.3(2003))は、シナプス結合の分岐など神経結合の位置情報を扱っている反面、神経細胞間の結合数を直接扱ってはいない。線虫研究者が結合数を知るためには、その神経結合データベースを解析するプログラムを各自が作成する必要があった。そこで、神経細胞間の結合数(表形式)とその結合図を表示する、神経結合データベースに対するユーザインターフェース(プログラム)を作成し、http://ims.dse.ibaraki.ac.jp/ccep-app/として公開した。
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