研究概要 |
平成17年度は下記の研究を行った。 1.マルチカノニカル(MUCA)MC計算によるL-J流体の液体-固体相転移の研究 サイズ効果を調べるために、256個のアルゴン系のMUCAMC計算を行い、130K付近と60K付近に熱力学量の不連続な変化がみられた。130K付近の変化は液体-固体相転移であり、60K付近では熱力学量の変化が微小であることから、固体-固体間の相転移であろうと推測し、現在、解折中である。この低温での相転移は、通常のMC計算では256個のアルゴン系でも存在するが、108個および500個のアルゴン系では見られない。500個のアルゴン系のMUCAMC計算は、液体-固体相転移が同時に起こる重み関数の決定が非常に困難で、断念した。 2.isobaric-multithermal(MUTH)MC計算によるL-J流体の液体-固体相転移の研究 108個のアルゴン系で、1atmおよび3000atmのMUTHMC計算を行った。3000atmでのMUTHMC計算では、MUCAMC計算と同様に150K付近で液体-固体相転移が見られた。通常の圧力一定のMC計算の結果と熱力学量の比較した。Gibbs自由エネルギーが連続的に変化していることも確認した。さらに、256個、500個の系でサイズ効果を調べている。 3.水の液体-固体相転移の研究 昨年度と同様に216個の水分子系で、MUCAMC計算およびMUTHMC計算を継続している。現時点ではいずれの計算でも結晶氷ではなく、アモルファス氷が形成されている。 これらの途中経過を6th Liquid Matter Conference, ISMS 2006,分子構造総合討論会2005,第19回分子シミュレーション討論会,第61回日本物理学会年次大会にて発表した。(1)の結果および(2)の108個のアルゴン系の結果は、各々投稿準備中である。
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