研究概要 |
2004年新潟県中越地震、1997年鹿児島県北西部地震などの中・大地震震源域周辺の詳細な地震波速度構造を求め、地震波・地殻変動解析による地震時すべり量分布と比較した。その結果これまで得られていた他の内陸地震・スラブ内地震と同様にすべり量の大きな領域は、地震波速度の低速度域を避け比較的高速度な領域におよそ分布しているように見えることがわかった。このことは断層面上のアスペリティの領域が地震波速度高速度域としての特徴を持つ可能性が指摘される.一方、震源・破壊開始点は低速度域内あるいはその境界におよそ位置していることが分かった。 2005年8月16日に発生した宮城県沖の地震(M7.2)の余震分布・すべり量分布を求め、1978年宮城県沖地震(M7.4)と比較した。地震時すべり量分布も余震分布も、2005年の地震は1978年の地震の震源域のうち、その破壊開始点付近のみを破壊したことを示している。実際、 Seno et al.(1980)や加藤・他(2003)は,1978年の地震の際,破壊開始点付近で大きなすべりがあった可能性を指摘している.例えば,Seno et al. (1980)は、1978年の地震の破壊開始点付近で、 Mw7.1相当の破壊があったとするモデルも提出している。つまり、1978年の地震は複数のアスペリティの複合破壊であり、2005年の地震はそのうちの一つだけを破壊したと考えられる。
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