研究概要 |
日本及び米国では,密度・品質ともに従来の地震計網を圧倒的に凌駕する新世代地震計網が完成もしくは完成されつつあり,そのデータにはこれまで我々が手にすることができなかった地球内部構造に対する情報が豊富に含まれていると考えられる.本研究計画の目的は,このようなデータを十分活かしきるだけの最先端の解析手法・ソフトウェア開発研究を行い,地球内部構造研究のさらなる高度化を実現することである.本年度は,昨年度開発したインバージョン手法を用いたインバージョンソフトウェアを開発し,グローバル地震観測網データを用いた地球内部構造推定を実施した.インバージョン手法の改善により,解像度の乏しかった海洋下の構造に特徴的な構造を検出され,成果を現在まとめている.また理論波形計算手法にさらなる改善を加え,特に浅発地震に対する計算効率・計算精度を改善し,成果を国際誌に発表した(Kawai et al. 2006,GJI).さらに地震計アレーデータ解析を実施し,内核をS波で伝わる実体波の発見や,CMB近傍の大規模低速度層境界の急激な速度変化の詳細な性質の同定を行い,これらの成果を国際誌に発表した(Cao et al. 2005, Science; To et al. 2005,EPSL).来年度はこれらの解析計算手法・グローバル地震観測網解析・アレーデータ解析の成果を踏まえ,グローバル地震観測網及び地震計アレーデータを統合するような解析手法を打ち出し,本研究計画の当初目的を達成したいと考えている.
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