1)太平洋地域における電磁場観測データを用いて、電磁探査法によりマントル遷移層の電気伝導度構造を推定した。その結果、太平洋域での解析では、マリアナ下に低電気伝導の沈み込むスラブ(太平洋プレート)の上側の遷移層に、バックグラウンドに比べて約6倍という非常に高伝導の異常が検出された。この異常は、スラブから脱水した水の存在に起因し、水素イオンの拡散によって高電気伝導を示していると考えられる。遷移層鉱物(ウォズリヤイト)内での水素イオンの拡散係数および拡散係数と電気伝導度とを結びつけるネルンスト-アインシュタイン則を用いると、マリアナ下の含水量はおよそ0.3wt.%H_2Oと見積もられる。この成果については、アメリカ地球物理学会総会で報告を行った。 2)「地球シミュレータ」を用いて、等方媒質電気伝導度モデルを効率的に探索するインバージョンコードを作成した。モデル探索には準ニュートン法(BFGS公式)を用い、これによりヤコビアン行列を陽に計算せず高速にモデル更新をおこなうことができる。フォワード計算部は、電磁誘導方程式の行列条件数を大幅に減少させるmodlfied IDMを導入し高速化を行った。なお、このコードは異方性媒質についても応用可能であり、現在作成中である。 3)グローバル地磁気観測点(およそ90点分)の1分値データを、過去12年分取得した。またこれらをまとめて、データベース化した。今後もさらに地磁気データ取得を継続していく。
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