研究概要 |
乾燥地域の水資源への温暖化の影響を評価することは、重要な課題となっている。乾燥地域の水資源は近接する(流域の)山岳地域への降水が重要な役割を占める。そのため、対象地域には物理モデルによるダウンスケーリングだけでなく、山岳地域への降水を適切に評価した上で、統計的なダウンスケーリング手法を適用することが、期待される。そこで本研究は、山岳降水を衛星データを利用して評価し、統計的な手法により温暖化影響のダウンスケーリングを行うことを目的としている。対象地域は中国北部とトルコの乾燥地域である。 平成16年度は、予定通り、山岳の効果(山の上の方で雨が多く降るなど)を考慮した日降水グリッドデータを、雨量計に基づき東アジアについて作成した。中国北部の乾燥地域のみならず、中国全体、モンゴルを含む地域でデータセットを作成した。衛星データについては、熱帯降雨観測衛星(TRMM)観測地域について、本研究で作成したデータセットとTRMM/PR(レーダー)データを比較した。予想に反し、TRMM/PRデータは雨量計データから作成されたデータセットに対し、強い雨に対して系統的な誤差がみられることがわかった。そのため、第1次的な評価としては衛星データを使わないデータセットから統計ダウンスケールをこころみることにした。 一方トルコについては、500地点ほどの雨量計による日降水データを収集した。またイスラエルのテルアビブ大学教授との共同研究の話がすすみ、トルコのみならずイスラエル,シリア、レバノンなどで月降水量データを入手できることになった。
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