宇宙空間で直接波動粒子相互作用を観測する計測器開発のため、本年度は試験用の模擬実験装置を開発し、その動作試験及び、初期解析結果についての成果をまとめた。これまでの観測データから得られた地球周辺領域のプラズマパラメータ等の初期値を元に、相関計の性能を設定し、また小型・軽量の観測器を目指すためにデジタル処理型の実験装置を設計した。模擬実験装置は従来開発されてきた波動観測器と、粒子観測器を接続できるインターフェース部をもつことで、実機レベルでの観測試験を行う事が出来る設計になっている。また、単体試験も行うことが出来るように、波動入力の試験のためのアナログ信号入力を3系統、疑似粒子データ、疑似磁場データを記憶するためのメモリ部を搭載し、基本的な試験から、実機レベルまでの応用試験までも行うことが出来る仕様になっている。本年度においては、この模擬実験装置に搭載された各部の動作試験を行うともに、デジタル処理にFPGA(Field Rrogrammable Gate Array)を用いているため、ハードウェア記述言語を用いたFPGA内部の動作プログラム開発を行った。より柔軟な相関計の設計のため、アナログ波形入力をフィルタ処理し、より高精度の相関値を求める処理プログラムを開発した。また、疑似磁場データを用いて、波動データの磁場投影成分をデジタル処理にてリアルタイムに求めるアルゴリズムも開発した。本年度は実際の相関値を求めるプログラムは初期解析が完了しているので、来年度以降、電磁粒子シミュレーションコードを用いた計算機実験との比較を行い、より高精度で信頼性の高い相関値を求めるプログラムを設計・開発していく。
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