研究課題
本年度は、イメージング用Si検出器の読出し回路についての開発を実施した。多チャンネル・アナログLSI (4mm×7mm、32チャンネル入力)の改良をIDEAS社と協同研究にて実施し、今までのアナログLSIに比べて、約8倍のダイナミックレンジを持つことができるようになった。このアナログLSIに対する性能試験の結果、10keV〜2MeVまでのエネルギーが測定できること、エネルギー分解能としては2keV (FWHM)以下を達成できることを確認した。小型でありながら粒子のイメージングが可能な読出し回路の開発に成功したことになる。高放射線環境下での使用を想定しているため、Protonによる放射線影響データについても試験を実施した。放射線医学総合研究所の重粒子加速器を用いて、LSI表層に近いところに影響を及ぼす6MeVのプロトンと100MeVのプロトンについて放射線障害データを取得した。いずれも、60kRadまで問題なく動作していることを確認できた。6MeVのプロトンビーム照射時に、60kRadを超えたあたりで一度ラッチアップを起こしたが、電源OFF後には問題なく動作することも確認出来ている。高放射線環境下の測定について、本年度は評価試験を実施した。10mm角のSiストリップ検出器を、開発したアナログLSIを用いて計測を実施した。高放射線環境を模擬するために、放射線医学総合研究所の重粒子加速器施設を用いて、1000カウント/100μsecの6MeVのプロトンビームを照射した。照射の結果、従来型のSi検出器ではエネルギーがパイルアップにより正確に測定できなかったが、本研究で試作したSiストリップ検出器高エネルギーセンサーは、ビームのエネルギーを正しく再現することに成功した。また、ビーム形状のイメージングデータを取得することにも成功した。
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IEEE Transaction Nuclear Science Vol.51,No.5
ページ: 2004-2007