本年度は、イメージング用Siピクセル検出器の性能評価とピクセル検出器を読み出すために開発した多チャンネル・アナログLSI(16x16チャンネル入力)の性能評価ならびに耐放射線性の確認を実施した。 以前までは粒子が入射したかしないかに関わらず、LSIのすべてのチャンネルを読み出さなければならない仕様であったため、高放射線環境下においては、不感時間が大きくなってしまい時間分解能の悪い計測しかできなかった。これは、本研究が目指す、粒子加速現場での測定ができなかった。今回開発したLSIは、粒子が入射したチャンネルだけを読み出すことができる。16x16チャンネルが完全に独立に読み出すことができるため、高放射線環境においても不感時間は、1チャンネルの読み出し回路と同等であり、大幅に不感時間を減少させることに成功した。 Siピクセル検出器についても同じく放医研の加速器ビームを用いて、16x16ピクセルの一様性について評価を行い、数%以内で一様であることが確認できた。また、核種(Z)の異なるビームに対して応答関数を求めたところ、計算結果と一致し、核種弁別に対して非常に優れていることを確認できた。エネルギー分解能についても、2keV程度を達成できており、非常に優れた検出器の開発に成功した。高放射線環境下の測定について、評価試験を実施した。高放射線環境を模擬するために、放射線医学総合研究所の重粒子加速器施設を用いて、1000カウント/100μsecの6MeVのプロトンビームを照射した。照射の結果、従来型のSi検出器ではエネルギーがパイルアップにより正確に測定できなかったが、本研究で試作したセンサーは、ビームのエネルギーを正しく再現することに成功した。また、ビーム形状のイメージングデータを取得することにも成功した。
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