研究課題
宇宙空間における非熱的中性粒子、特に1keV以下の低エネルギー重粒子の観測は過去にはほとんど行われていない。しかし、これが可能になれば、例えば以下のような点で大きな発展が期待されている。○地球の極域電離圏起源の重イオンの磁気圏への逃散フラックスの空間構造の観測○惑星・月の表面から放出されるスパッタリング粒子の観測○LISM (local interstellar medium)の観測本年度は、前年度までの計算機シミュレーションによる観測器形状の最適化の結果を基に、観測器テストモデルの試作を行った。本研究はスウェーデン宇宙科学研究所(IRF)との共同研究であるため、試作したものは日本側が担当する検出器部である。本観測器は飛行時間計測法(TOF法)という粒子の速度を計測する方法で入射粒子の質量分析を行う。このためには検出器(MCP)で発生する信号の出力タイミングを1ns程度の高い時間分解能で決めなくてはならない。真空チェンバーを用いた予備的な試験では、MCPからの出力信号は各アノード(信号取り出し部)に分離して取り出せており、良好な結果を得ている。本検出器は最終的にはスウェーデンに送り、観測器全体を組み上げ、粒子ビームなどを用いた本格的な試験を開始する予定である。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Advances in Space Research 37
ページ: 38-44
Journal of Earth System Science 114・6
ページ: 749-760