研究課題
35億年前から現在までの炭酸塩岩を地質学的な証拠から浅海性と深海性に分けた。浅海性はストロマトライトや砕屑性炭酸塩岩などを含む堆積性炭酸塩岩や浅海で噴出した玄武岩の杏仁状組織やハイアロクラスタイトのマトリックスの炭酸塩鉱物が該当し、深海性のものは深海の玄武岩の杏仁状組織を埋める炭酸塩鉱物である。また、定性的に酸素が急増したと言われている24億年前を含む30〜19億年前と5.4億年前を含む8〜5億年前の炭酸塩岩を、南アフリカ共和国と中国でそれぞれ2ヶ月間程度の綿密な地質調査をして、採取した。そして、これまでに採取した炭酸塩鉱物の主成分と希土類元素組成をEPMAとLA-ICP-MSで局所分析し、浅海と深海の酸素濃度をそれぞれ推定した。また、23億年前の炭酸塩岩の酸素と炭素同位体の分析を行った。その結果、浅海の酸素濃度はきわめて小刻みに変動し、27.8、26、22と5億年前に上昇し、27.2、24と8億年前に低下した。一方、深海は35〜19億年前までずっと還元的であった(Komiya,2004)。固体地球の解析では、38億年前から現在までの中央海嶺玄武岩の組成からマントルの組成と温度の経年変化を決めた。この間、地球のマントルの温度は150〜200度低下し、FeO含有量はFeとして核に吸収されおよそ2割減少した。後者は、相対的にマントルのFe_3O_4が増加することを意味し、結果としてマントルは酸化的になったのかもしれない(Komiya,2004)。また、42億年前のジルコンを岩石中から発見し、その希土類元素を分析した。その組成やミシシッピー川の川砂ジルコンのHf同位体分析結果から、大陸地殻のリサイクリングが大規模に起こってきたことと、42億年前に既に大陸地殻が広い範囲で存在していたことが分かった(Rino et al.,2004;Iizuka et al.,2005)。
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