研究概要 |
本研究の目的は,東北地方の中新統で層序に沿った高密度古地磁気サンプリングを行ない,古地磁気方位の時間変化を観測することにより,東北日本の回転移動時期を明らかにすることである.この目的を達成するために,本年度は岩手県北上市周辺を調査地に設定し,地質調査と岩石試料サンプリングを実施した. まず,調査地に分布する中新統稲瀬火山岩類(約15-13Ma)を対象に地質調査を行い,溶岩の分布や地質構造を明らかにした.調査は主に踏査により行い,岩相分布と構造を記載した.その結果,稲瀬火山岩類には従来知られているよりも多くの溶岩が挟在することが判明した.次に,発見された溶岩流や火砕岩からエンジンドリルを用いて岩石試料を採取した.1地点につき8〜10個の試料を採取した.その結果,合計26地点から約200個の岩石試料を得ることができた. 露頭での地磁気測定と残留磁化方位のチェックには小型磁力計が有用であるため,今回新たにバーティントン製単軸フラックスゲート磁力計Mag-01Hを購入・使用した。この磁力計は極微弱な磁場強度を測定することが可能である.野外での使用に加え,実験室における磁気測定装置内の残留磁場測定にも用いることができる. 次年度は,得られた試料の磁気測定を行ない,古地磁気方位の層序変化を明らかにする予定である.また追加の試料採取が必要であると判断された場合にはそれを行う.そうした結果から,東北日本の回転移動時期について新知見を得たい。
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