研究概要 |
本年度おこなった研究によって、以下の成果が得られた: 1.極地研究所に設置されている電子線マイクロプローブ(JEOL JXA-8800)を用いて、希土類元素分析のための測定条件の検討をおこなった。その結果、希土類ガラスを標準試料に用いて、モナザイト結晶中のLa, Ce, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, DY, Er, Tm, Ybを十分な再現性と精度でもって定量分析可能となった。 2.電子線マイクロプローブを用いたモナザイトのU-Th-Pb年代測定の立ち上げをおこない、10-25億年の古い年代試料については、十分な精度・確度での年代測定が可能となった。それより若い年代試料については、まだ数十Ma程度の不確かさが今後の検討課題として残っている。 3.南極ナピア岩体ならびにリュツォ・ホルム岩体で採取した(超)高温変成岩試料中のモナザイトの希土類元素およびU, Th, Pbの定量分析をおこなった。その結果、ナピア岩体からはこれまでに報告のあるジルコンU-Pb年代と調和的な25-24.5億年の年代値が得られたが、一方のリュツォ・ホルム岩体からはジルコン年代(550-520Ma)と調和的なモナザイト年代に加えて若干古い(650-550Ma)年代分布が見いだされた。M-HREEに若干富むこうした古いモナザイト結晶は、ザクロ石形成以前の昇温期の結晶作用を示唆する。 4.南アフリカに産する花崗岩試料のSHRIMPジルコン年代測定の結果を、第32回万国地質学会および国際ゴンドワナシンポジウムにおいて発表した。 5.SHRIMPを用いた希土類元素測定のために、装置のキャリブレーションをおこなった。特にエネルギーフィルター法を用いた測定のための二次イオン系のフォーカシングと質量分析部(マグネット)の設定条件の検討をおこなった。
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