研究概要 |
<溶存CO及び軽炭化水素類同位体組成測定用の抽出システムの作成及び検討> 海水中のCO及び軽炭化水素類の濃度及び同位体組成の測定での最大の問題は、海水試料の状態では数日以上保存ができないことである。そのため、CO及び軽炭化水素類の濃度及び同位体組成の測定は船上で行うことが望ましい。そこで、CO及び軽炭化水素類を船上で抽出・精製し、実験室に持ち帰って測定を行うシステムを確立した。 <海洋観測> 海洋科技センターの観測船の航海に参加し、新しく確立した溶存CO及び炭化水素類の抽出・濃縮システムを用いて、海水中に溶存するCO及び炭化水素類の炭素安定同位体組成の測定に成功した。沿岸域や外洋(太平洋)域の表面海水24時間連続観測により、海水中のCO及び炭化水素類の生成・消滅のメカニズムについて新たな知見を得ることが出来た。また、CO及び炭化水素類の鉛直分布についても調べ、深度別の生成および消滅メカニズムについて考察した。さらに水曜海山の熱水プルーム中のCOの測定も初めて行い、一酸化炭素が深海底熱水活動の新たな指標に成りうることが示唆された。 これらの結果については、国内外の学会やシンポジウムに参加し成果発表を行った。主な3件を以下に示す。 Stable isotopic studies of trace gases in seawater : Constraints on their production and fate mechanisms F.Nakagawa, U.Tsunogai, S.Kameyama, M.Sasakawa, D.D.Komatsu, J.Yamaguchi, S.Kawaguchi, M.Uematsu, A.Tsuda 2004 SOLAS Science Meeting,13-16 October 2004,Halifax, Nova Scotia, Canada The budget of atmospheric methyl chloride using stable isotopic mass-balance approach D.D.Komatsu, U.Tsunogai, J.Yamaguchi, F.Nakagawa, Y.Yokouchi, Y.Nojiri 2004 AGU Fall Meeting,13-17 December 2004,San Francisco, California, USA 炭素安定同位体比を指標に用いた海洋表層中の溶存軽炭化水素の挙動と生成過程の解析 山口潤子,小松大祐,魚皆潤,中川書子,笹川基樹,亀山宗彦 2004年度日本地球化学会第51回年会,2004年9月20-22日,静岡
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