研究概要 |
本研究は初期太陽系物質の中でも最も古いと考えられているCAIやコンドリュールの年代をPb-Pb法及びMn-Cr法を用いて求めることを目的とする。 平成16年度は神戸隕石とアエンデ隕石(いずれも炭素質コンドライト)から抽出したコンドリュールのPb-Pb年代を求めることに重点を置いて研究を進めた。その結果、比較的変成度の低いアエンデ隕石のコンドリュールは普通鉛の量が少なく、放射起源の^<207>Pb,^<206>Pbを多く含むことが明らかになった。またPb同位体比から計算した予備的なPb-Pb年代(4564.4+/-3.5Ma)は現時点ではまだ誤差が大きいものの、これまで報告されているコンドリュールの年代とよく一致した。一方、比較的強い熱変成の影響を受けている神戸隕石のコンドリュールは、マトリックス起源と思われる普通鉛を多く含み、そのPb-Pbアイソクロン年代も4522+/-20Maとアエンデ隕石のコンドリュールよりも若くなった。この若い年代は変成作用によって系が乱された年代であると考えられる。なお、アエンデ隕石に関しては、分析した試料の数がまだ十分ではないので今後もPb-Pb年代測定を続け、100万年以下の誤差で年代を求められるよう努力する。 Mn-Cr法に関しては、研究室が所有しているICP発光分析装置に軸方向観察アタッチメントを取り付け動作確認を行った。その結果、取り付け前と比べて試料を三分の一程度にまで下げることが可能になった。今後アエンデ隕石から分離した比較的大きなコンドリュール(数十ミリグラム)の一部を使って、コンドリュールのMn-Cr年代を求め、同じ試料から求めたPb-Pb年代との比較を行う。
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