• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

ペアイオンプラズマ制御によるフラーレンダイマー大量合成法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16740310
研究機関東北大学

研究代表者

大原 渡  東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80312601)

キーワードフラーレン / ダイマー / ペアイオンプラズマ / 衝突結合
研究概要

1.現有の磁場コイル(3kG)と真空容器(内直径16cm,長さ200cm)を利用し,ドーナッツ状電子銃とフラーレンC_<60>昇華用オーブン付きの加熱銅円筒が設置されている.高エネルギー電子衝突電離によって正イオン(C_<60>^+)が生成され,低エネルギー電子付着によって負イオン(C_<60>^-)が生成されている.生成された負イオンを電位差(0〜200V)をつけた2枚のグリッド間で積極的に静電加速させて,下流域に存在する中性フラーレンや正イオンと衝突させた.グリッド電位差をコントロールパラメータとして,負イオンビームエネルギーを変化させてダイマー合成を行った.
2.衝突処理したフラーレンサンプルをMALDI-TOFMSによって質量分析を行ったところ,質量数1452を持つ物質が確認された.これはC_<121>に相当する質量であり,フラグメンテーションC_2から供給されたCと,C_<60>が2個から成るダイマーであると考えている.ダイマーが合成される負イオンビームエネルギーには,最適なエネルギー範囲(60〜180eV)が存在する.積極的な負イオン加速・衝突によって,ダイマー合成量を大幅に向上させることができた.
3.TOFMSによって質量分析する際に,レーザによってイオン化しているが,レーザ照射によってダイマーが合成されるという報告がある.そこで,LDI-TOFMSよってレーザ強度に依る質量スペクトルの変化を調べた.C_<60>単体にLDIした場合は,レーザ強度がある閾値を越えるとダイマーC_<119>が主に観測されて,C_<121>は観測されない.すなわち,C_<121>はLDIではなくプラズマプロセスによって合成されたと言える.
4.既に報告されている合成されたダイマーは,結合力の弱いダンベル型が主である.材料応用のためには,結合力の強い融合型のダイマーであることが望ましい.レーザ照射や中性ガスとの衝突によってダイマーは解離する.レーザ強度を高めてLDIによって解離されるとC_<112>+nC_2の一連のフラグメンテーションしたダイマーが形成された.ここでも,ほとんどC_<119>は形成されていない.更にMALDIによってイオン化したダイマーを静電加速(加速電圧20kV)して,窒素ガス分子と衝突させた(CDI).ここで,フラグメンテーションしたダイマーは観測されなかったことから,C_<121>の結合力は強いと言える.以上のことから,フラーレン負イオン加速・衝突によって合成されたダイマーは,結合の強い融合型であると考えられる.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] Electrostatic Waves in a Paired Fullerene-Ion Plasma2005

    • 著者名/発表者名
      W.Oohara
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 95・17

      ページ: 175003-1-175003-4

  • [雑誌論文] Electrostatic-Wave Behavior in Pair Fullerence-Ion Plasma2005

    • 著者名/発表者名
      W.Oohara
    • 雑誌名

      AIP Conferece Proceeding 799

      ページ: 29-37

  • [雑誌論文] Fullerene Dimers Produced by Acceleration and Collision of C_<60> Negative Ions2005

    • 著者名/発表者名
      W.Oohara
    • 雑誌名

      Proceedings of 5th Asian-European International Conference on Plasma Surface Engineering

      ページ: 353

  • [雑誌論文] Structual Control of Nanocarbon Materials by Novel Plasma Processing2005

    • 著者名/発表者名
      R.Hatakeyama
    • 雑誌名

      Novel Materials Proceeding by Advanced Electromagnetic Energy Sources

      ページ: 21-27

  • [雑誌論文] Creation of Novel Structured Nanocarbons Base and Plasma Technology2005

    • 著者名/発表者名
      R.Hatakeyama
    • 雑誌名

      Journal of the Vacuum Society of Japan 48・3

      ページ: 238-240

  • [雑誌論文] Creation of Carbon Nanomaterials Based on Plasma Science and Future Prospects2005

    • 著者名/発表者名
      R.Hatakeyama
    • 雑誌名

      Journal of the Intstitute of Engineering on Electrical Discharge in Japan 48・2

      ページ: 14-20

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi