時間的・空間的にデザインされたプラズマの原理検証構造を設計・製作し、そのプラズマ特性を確認した。次に、そのプラズマ部に8-12GHzまたは50-75GHzの電磁波を入射して、透過電磁波の減衰の様子を測定した。 まず、プラズマ源を2次元アレイ状に生成することに成功した。誘電体で被覆された2枚のメッシュ状電極を重ね合わせ、その孔の部分で放電長さ1mm弱のマイクロプラズマを生成し、電極面内に均一にプラズマの集合体を生成できた(以下、"プラズマ源1"と呼ぶ)。次に・プラズマ源1から数mm離れた位置に接地電極を設置すると、マイクロプラズマから接地電極へ向けた伸長放電がアレイ状に整列して発生した(プラズマ源2)。 このプラズマ源1に対し、50-75GHzのミリ波を入射して、透過電磁波の減衰の様子を測定した。電磁波の減衰量は最大で約10%であり、理論検討を行った結果このときプラズマの電子密度は10^<12>-10^<13>cm^<-3>と推定される。すなわち、このようなミリ波の減衰は、ミリ波周波数がプラズマ周波数の5倍程度のところで発生した。 また、マイクロストリップ線路基板上にデザインされたプラズマを数mmの放電長を持つように作製した(以下、"プラズマ源3"と呼ぶ)。このプラズマ源3をマイクロストリップ線路と垂直に生成してT分岐様構造を形成し、そこに8-12GHzのマイクロ波を入射したところ、最大で約15%の信号の減衰を確認した。このとき、電子密度は約10^<12>cm^<-3>と測定された。すなわち、この現象は、マイクロ波とプラズマ周波数が同程度のところで発生した。 また、プラズマ源3を用いてT分岐様構造を2個形成したところ、1個の場合と比較して減衰効率が上昇していることがわかった。すなわち、T分岐様構造を空間的に周期的に設置することで、さらに広範囲での減衰量の制御が可能であると推測される。同様に、別の周期構造を持つプラズマ源2も電磁波の制御に有効であると推定される。
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