研究概要 |
近年,核融合実験装置内で発見されているカーボンダストは,トリチウムを吸蔵し装置内に残留するため問題視されているものの,その発生起源は不明である.本研究は,水素プラズマ・壁相互作用によるカーボンダスト発生のモデル実験を行い,この発生起源を検討することを目的としている.今年度は以下の成果を得た. 1.モデル実験と比較する目的で,核融合実験炉におけるダスト生成について検証するために,核融合科学研究所のラージヘリカルデバイス(LHD)の第6実験サイクル終了後に,LHD内の数箇所に亘ってダストを採取し,そのサイズ,数密度,組成を調べた. 2.発生した微粒子をTEM,SEM観察EDXによる組成分析をすることによって,(1)従来報告されていたμmオーダーのダストの他に,5〜数百nmサイズのダストがLHD内に存在する.(2)1μm程度を境に小さいものほど炭素が主成分の球状微粒子が支配的になり,大きいものほど鉄,モリブデン,クロムが主成分のフレーク状微粒子が支配的である.という結果を得た.特にLHD内にナノサイズのダストが存在することを今回初めて見出した.モデル実験でも同様のナノサイズのダストが発生することを見出しており,モデル実験がある程度,実際の状況に近いことが示された. 3.ヘリコン放電を用いたダイバータシミュレータを開発し,イオン密度1×10^<13>cm^<-3>,電子温度6eVと核融合実験炉内の周辺プラズマに近いパラメータを実現し,モデル実験の準備が整った.
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